秘め恋
頑ななアオイの隣に腰を下ろし、マサは呆れを示すべく盛大なため息を吐いた。
「夜の海岸で女の人が指輪探す方がよっぽど大変でしょ」
「でも、失くしたのは私だから……。マサにまでこんなことさせられないよ」
アオイの言葉を無視し、マサは砂浜に手のひらを滑り込ませ見つかるかどうかも分からない指輪を探し始めた。
「マサ……!?」
「俺のせいにすればいいのに」
「え……?」
「せっかくしてきた大事な指輪、外してくれたの俺のためでしょ。だったら失くしたのも俺のせい。ここへ来なきゃ失くさずにすんだ」
「ううん! マサのせいなんかじゃない。指輪外したのは私が勝手にしたことだから。そんな風に思ってないから!」
「だとしても、二人で探した方が効率いいよ」
「そうかも……。ごめんね、マサ……。ありがとう」
アオイはようやく観念した。マサは安堵しつつ、人気が引いたことでより広く感じる砂浜を眺め気の遠くなるような思いがした。
アオイを一人にしておけず勢い任せで指輪探しに加わったが、果たして見つかるのだろうか。むしろ見つらない方が当然と思える。