秘め恋
マサは冷や水を浴びせられたかのように焦った。アオイは実はずっと起きていて、こちらが頭を撫でていることも黙ってやり過ごしていた、そういうことなのだろうか。
彼女はどんな気持ちだったのだろう。気持ち悪いと思われていないだろうか。マサは不安になった。どんな顔をしてアオイと向き合えばいいのか分からない。
「ごめん、勝手に触って……」
とにかく謝らなければ。謝ったはいいものの、アオイの返事を聞くのがこわい。壊れそうなほど激しく心臓が鳴る。
「嫌だったらやめてって言うよ」
「え……?」
「ごめん、ホントはずっと起きてたの」
寝そべったままゆっくり体を動かし、アオイはマサの方に向いた。照れ笑いを浮かべるアオイがとてつもなく可愛く見える。
「寝た振りしてたの? 言ってよ。そしたら触らなかったのに」
「なんか、起きるタイミング逃して」
アオイは言うなり両手でマサの右手を取り、自分の頭に持っていった。
「もっとして? なでなで」
「ちょ、え!? そうやって言われると逆にやりづらいっ」
「いいからいいから」
仕方なくといった感じでアオイの頭を撫でるもののその時間が心地よく、マサの頬は自然に緩んでいった。アオイも満足そうに目をつむっている。