秘め恋
「ホント、アオイは俺に甘えすぎ」
マサはそっとアオイを抱きしめた。思っていたより華奢で、なのに妄想でも夢でもない実体がそこにあった。緊張のあまり、マサの腕は少し震えた。
「マサ、寒いの?」
「大丈夫」
「布団、かけようか」
アオイが二人の体に布団をかけると、柔らかい温もりと甘い匂いが布団の中に満ちた。マサの頭の中は真っ白になりそうだった。それでも両腕でしっかりアオイを抱きしめていた。
勘違い、しそうになる。
アオイの気持ちは旦那にある。ただ今はたまたま寂しいからこうして手近な自分に甘えているだけ。分かっている。そんなアオイの弱さがマサの心をさらに引き付けた。守ってあげたい。強くそう思ってしまう。
「もう、ソフレにでも何でもなるよ」
投げやりに言った言葉の中に、アオイに対する並々ならない恋情があった。決して知られてはいけない想い。だけど、ただ想うことだけは許してほしい。
「マサ、あったかい」
「だね。いい感じに眠くなってきた」
二言、三言を交わし、二人はどちらかともなく眠りについたのだった。