秘め恋
それから数日間は、穏やかながらもマサを避ける日常が続いた。もちろん仕事に必要な会話は交わしていたがそれだけだ。バイトに入りたての真琴も、アオイとマサの様子を見てさすがに眉を寄せた。
「アオイ、気持ちは分かるけどあからさま過ぎない? それじゃあ特別意識してますって言ってるようなものだよ」
「そうかもしれない。でも、どういう感じが〝普通の言動〟なのか分からなくなっちゃったんだよ……」
「アオイ……」
真琴はそれ以上何も言わなかった。
アオイは非常に葛藤している。仁に対する義理と、マサに対する気持ちの在り方。二つの気持ちは同居できないししてはいけない。
アオイの幸せを祈ってる。ただそれだけだよ、私は。仁君はともかく、マサ君はどう動くんだろう?
そんなことを考えながら真琴はバイトに臨んだ。意識せずとも、アオイとマサ、二人を見守るような心持ちになっていくのだった。