秘め恋
イクトは、恋で悩むリオをマサが一方的に口説いたとでっちあげの噂を流し、マサに敵意をあらわにした。
噂を信じない者もいたが、学年の人気者であるイクトとリオの優位性に傾く生徒が多く、誰もマサの話を聞こうとしなかったし、マサもその他大勢に弁解しようとは思わなかった。
しても無駄だと感じたし、軽はずみな自分の行いがひとつのカップルを破局に追いやったのは事実。否定したところで二人がヨリを戻すとは限らない。
だったら言い訳するだけ無駄だと思った。自己弁護する気力もない。
今回のパターンはハイリスクローリターン。それなりにいい思いをしたのだから、けっこう不利なこの状況を受け入れてしまうのもアリ。
実際、リオと寝てから、獣じみていた欲が静かになった。リスクを負った甲斐があるというもの。そんな心持ちだった。
イクトはリオの浮気を許せなかったのだろう。マサは事の全貌をイクトに話したがまともに取り合ってもらえなかった。二人はヨリを戻さなかった。