秘め恋
河辺にやっていた視線をマサに向け、真琴は言った。
「アオイのことだから、そう思える」
真琴は語った。初めてアオイに出会った時のことを。
「二人は友達歴長いんですか?」
「んー。玲奈ちゃんとアオイの付き合いに比べたら浅いかな。アオイと友達になったのは高校に入ってしばらく経ってからだしね」
「玲奈って、店長の幼なじみでしたっけ。真琴さんもそのくらい長い付き合いかと思ってました」
マサは意外に思った。正直な感想を言うと、玲奈とアオイより、真琴とアオイの仲の方がずっと深く濃い友情に思える。
まあ、俺は玲奈って人と接点ないし、バイトで真琴さんとアオイの絡みを見てるからそう思うのかもしれないけど。
真琴は穏やかにかつ淡々と話した。
「玲奈ちゃんとアオイの間には、私には到底立ち入れないものがあるよ。それはたしか。でも、玲奈ちゃんが感じないものを私がアオイに感じていたのも本当」
「どういうことですか?」
マサは前のめりになる。
「心理学かじってる人間として、スピリチュアルな話は信じないでおくべきなんだろうけど……。高校入学後アオイと同じクラスになって、しゃべったことすらない頃から〝自分と同じ人かもしれない〟って直感したんだ。いわゆるソウルメイト的な感覚。アオイはあんな感じでしょ? 可愛くて明るくて人当たりもよくて爽やかで男子にもモテてて、雰囲気からして私とは正反対だから、人にそんなこと言ったら笑われちゃうだろうけどさ。真面目にそう思ったんだよ。実際、そうだった」