秘め恋
「それって、私が行ってもいいの?」
「もちろんです…! むしろ来てもらえると助かるっていうか」
「海ってことは、やっぱ海水浴だよね?」
「はい、多分そうなると思います」
楽しげに尋ねてくるアオイを前に、マサの気持ちは浮上していく。
「いいんですか?」
「可愛いバイト君のためだから。人肌脱ぎましょう!」
「ありがとうございます! 助かります、ホントに!」
これで、カップルの邪魔をする独り身男子のぼっちルートは回避できた。
安堵すると同時に、マサはそこはかとない感謝の気持ちをアオイに抱いた。
ありがとうと告げるマサを見て、アオイも嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、今度の休みに水着買いに行かないとなー。持ってないんだよね、実は」
「そうなんですか? だったら見に行くの付き合いますけど」
「ううん、いいよ。一人で行けるから」
「でも、こっちの都合で来てもらうんだし、そのくらいは」
先日マサは無事に免許を取り、納車もされた。中古車だし金を支払ったのは親だが、中古とは思えないほど綺麗な状態だったのでお得にいい買い物ができたと満足している。
イクトも車を持ったというので、お互い自分の連れを車に乗せて海まで向かい、現地で待ち合わせる予定になっている。