秘め恋
浮き上がり沈む
この子は私に似てる。
マサの面接をした日、アオイは真っ先にそんなことを思った。
彼の瞳の底に何かを見、不思議な引力に吸い込まれそうな強い衝撃が胸を占め、その波動は瞬く間に全身へと行き渡った。
これまでの人生で何人もの人と出会い、店長になってからは面接もそれなりにこなしてきた。
しかしこんな気持ちになるのは初めてだった。
なぜそんな風に感じたのかは分からない。
マサとアオイ、二人に共通点などない。むしろ違うところばかりだ。年齢も五つ離れているし、ボーイッシュで恋愛下手だったアオイと違い、目の前に座る男子大学生はいかにも女性慣れしていそうな雰囲気の持ち主である。きっと今も彼女の一人や二人いるのだろうと思わせる色気もあった。
無理やり二人の共通項を探すとすれば、ここで働く者同士になるということくらいか。そう、アオイは一目見た瞬間からマサを採用すると決めていたのだった。
なぜ、初対面の年下男子にこうも親近感を覚えてしまうのか、アオイ自身にも分からないまま、その答えを求めるかのように彼を働かせることに決めた。
なんなんだろこれ……。寂しいのに嬉しいような感情で胸が染められる。こんな気持ち、初めてだよ。
もちろん、だからといってマサだけに優しくしたりなどしない。バイト達全員平等に接しているつもりだ。店長という立場を考えたらなおさら贔屓はいけない。
そう心がけつつ、気付くとマサのことばかり目にかけてしまっていた。