秘め恋
因縁ある親友のカップルに海へ誘われ困っているマサを、今助けなくていつ助ける!?
ひそかにマサとの友情を望んだアオイは、そんなこんなで勇んで水着を買いに来たが、あれこれ悩んでしまい肝心なところが決められない。こんなことなら、変に意地を張らずマサの言葉に甘えて水着選びに付き合ってもらえばよかったと後悔した。
マサだったら、客観的に私に合いそうなの選んでくれそうだし……。
陳列された水着にスルスル指先を滑らせつつ、こんな時に仁(ひとし)を頼れない自分を虚しく感じた。
仁とはお互い違う四年制大学に通っていたが同い年だったので同時期に卒業し、社会人になってすぐ結婚した。
それから早一年。新婚と言えば新婚だが、お互い仕事が忙しくゆっくり語り合う時間もなく時は流れていった。
前にシたの、いつだったっけ……。三ヶ月? ううん、もっと前かな。
心だけでなく体まで寂しい。
ふと顔を上げると、自分と同世代と思しき一組のカップルが目についた。腕を絡めてはしゃぎながら水着を見ている。
「これどう思うー?」
「お前胸デカイし、もっと隠れるやつにしろよ。他のヤツに見られたくない」
「もぉ、分かったよー。じゃあコレは?」
彼女の方が、今まさにアオイのしたいことを目の前でやっている。
う、羨ましい……。男の人に肌を見られる心配なんて、最近全然してもらってないよー。結婚してるし仕方ないのかな。