秘め恋
確実に嫌われたな、もう。最悪。バイトもやめよ……。
適当に理由をつけて海の家を出てきたユミは、マサを追いかけ何とか彼に追いついた。マサはひどく傷ついた顔をしている。アオイの目の前でイクトに不都合な過去をバラされたのがショックだったのだろう。アオイに惚れているのが手に取るように分かった。一途にアオイを思うマサの気持ちが、ユミにはひどく羨ましかった。
砂が鳴らすユミの足音に気付き、マサは苦笑した。
「なんかごめんね。変な空気になって」
「あれはイクトのせいじゃん」
「元は俺が悪いし」
「遊んでたこと、アオイちゃんにだけは知られたくなかった?」
「…………」
「イクトもゲスいよね。腐った女みたいなことする」
「俺がそうさせたから」
「過ぎたことじゃん。そうやって自分ばかり責めるの、いい加減つらくない? 反省したって過去は変えられないのにさ」
「そうは言っても、それが俺のしたことだから」
イクトが私を追いかけてくることはない。ユミの予想は当たった。遠目に見える賑やかな海水浴場から離れたここは、岩に囲まれ死角がある。そういった様々な状況が手伝って、ユミはマサにこんな発言をするのもためらわなかった。
「んー。じゃあさ、とりあえずエッチしようよ」
「どうしてそうなるの!?」
「だって、マサ君つらそうだから。私も今ちょっとつらいし、したらスッキリでしょ。ここ人来なさそうだし、ちょうどよくない?」
「そういう問題じゃなくて」
「マサ君となら全然いいよ、私」
言うなり、ユミはビキニの上をおもむろに外し豊かな胸をあらわにした。