思われる以上に恋しかった
彼女は、大学を卒業してからもずっと高校からアルバイトをしている本屋さんで働いている。

僕は、去年大学を卒業して今年から、イベント系の企業に就職した。

基本的に彼女の方が帰宅は早いが、今日は新しい本棚に本を移動させるとかなんだとかで、僕の方が帰宅が早い。

家に帰って彼女が「おかえり、こーちゃん!!」と迎えてくれない寂しさには慣れない。といっても、これが二回目だけど。

22時は帰るね、ご飯は冷蔵庫です、チンしてたべてね。

とラインが入っていた。

僕が家に帰ったのは20時少し前、

はーちゃんが後2時間で帰ってくるなら、夜ご飯は一緒に食べたい。

僕はソファで寝っ転がって待つことにした。

そう、これはフラグだったのだ。

自分でもわかっていた、落ちる、寝落ちするって。

後悔先に立たず、

僕が寝たことに気が付いたのは、はーちゃんの顔か僕の目の前にあって、僕をぎゅーっとしてるのに気づいた時だった。

「おかえり、はーちゃん、寝ちゃってごめんね」

「うううん、いいの。ただいま、こーちゃん」

僕は何とも愛しくて、倍の力で抱き着き返した。

「ねえ、こーちゃん、ご飯食べてないでしょ?」

「うん、食べてない」

「食べる?」

「食べる」

「ちょっと待っててね」

離れることが寂しいなって思いながら、僕は不思議でたまらなかった。

彼女は休むことを知らないのだろうか。疲れてるのに寝てる僕を見てイライラしないのだろうか。

そんなことを考えているうちにご飯の用意ができたみたいで、少しおなかが鳴った。


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