あの日みた月を君も
episode-3
episode-3
寒い冬が本格的に到来した。
卒論に追われながら年を越し、ようやく出来上がった卒論を期日までに無事提出することができた。
周りの学生達もホッとした表情で研究室で談笑している。
このままパーッと飲みに行こうと誘ってくる仲間もいた。
「ごめん、今日はちょっと用事があるんだ。」
丁寧に断ると、仲間達は少し残念そうな顔したが、参加するメンバーは次々と開放的な表情で研究室を後にしていった。
僕はぼんやりと窓の外を眺める。
外には雪がちらつき始めていた。
今晩も寒くなりそうだ。
「皆との飲み会断らせちゃってごめんなさい。」
アユミが僕の後ろでぽつりと言った。
「いいんだ。君の方が先約だったし。」
先約だったとか、本当はそういうことが問題じゃなかった。
本当は、アユミと2人で出かけたかっただけだ。
他にどんな理由があったとしても、きっと僕はアユミを選んでいた。
アユミもちらっと窓の外に目をやった。
「雪ね。どうしようか。」
「そうだね。外は寒いかな。アユミはどこか行きたいところある?」
アユミは「うーん。」と顎に手を当ててしばらく考えていた。
アユミから誘ったのに、結局どこに行きたいとか何も決めてなかったのかと少しがっかりする。
僕が誘う側だったら、絶対その数時間のスケジュールをしっかりと考えてきたはずだから。
一秒たりとも、2人の時間を無駄にしたくないから。
寒い冬が本格的に到来した。
卒論に追われながら年を越し、ようやく出来上がった卒論を期日までに無事提出することができた。
周りの学生達もホッとした表情で研究室で談笑している。
このままパーッと飲みに行こうと誘ってくる仲間もいた。
「ごめん、今日はちょっと用事があるんだ。」
丁寧に断ると、仲間達は少し残念そうな顔したが、参加するメンバーは次々と開放的な表情で研究室を後にしていった。
僕はぼんやりと窓の外を眺める。
外には雪がちらつき始めていた。
今晩も寒くなりそうだ。
「皆との飲み会断らせちゃってごめんなさい。」
アユミが僕の後ろでぽつりと言った。
「いいんだ。君の方が先約だったし。」
先約だったとか、本当はそういうことが問題じゃなかった。
本当は、アユミと2人で出かけたかっただけだ。
他にどんな理由があったとしても、きっと僕はアユミを選んでいた。
アユミもちらっと窓の外に目をやった。
「雪ね。どうしようか。」
「そうだね。外は寒いかな。アユミはどこか行きたいところある?」
アユミは「うーん。」と顎に手を当ててしばらく考えていた。
アユミから誘ったのに、結局どこに行きたいとか何も決めてなかったのかと少しがっかりする。
僕が誘う側だったら、絶対その数時間のスケジュールをしっかりと考えてきたはずだから。
一秒たりとも、2人の時間を無駄にしたくないから。