あの日みた月を君も
4.稽古
4.稽古


その日からなんだか学校に行くのが楽しくなってきた。

学園祭も。

なんてげんきんな性格なんだろうと、我ながら感心する。

セリフはたった二言だからすぐに覚えられた。

今日は、通し稽古で、実際に動きながら演じるらしい。

ヒロに抱きしめられて、キス・・・か。

想像するだけで顔が熱くなる。

でも、練習の時間が待ち遠しくて仕方がなかった。

全ての授業が終わり、その時を迎えた。

最初から担任の細かい指導のもとに、俳優陣達は演技を始めた。

私は最後のシーンだから、しばらく待ち時間がある。

その時、ふと、教室の扉の方から視線を感じて目をやると、廊下からじっとこちらを見ている女子3人組みと目が合った。

「は?」

首を傾げると、3人はとても感じ悪い顔をして、プイと横を向いて走り去ってしまった。

な、何なのよ。あの態度!

失礼しちゃうわ。

しかもあの3人組みなんて見たことないし。

同級生っぽいから、中学から上がってきた学生に違いない。

どうもねぇ。

私達のように、高校から入学したメンバーと元々いた学生とは交流する機会もほとんどなければ、お互い様子を伺う感じで打ち解ける雰囲気は全くなかった。
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