あの日みた月を君も
「マサキくんの隣のかわいらしい男性は?」
ママがにっこりと赤い口元を緩めて尋ねた。
「俺の親友。ばりばりの研究者なんだぜ。」
マサキはニヤッと笑って僕を見た。
「初めまして。多治見ソウスケです。」
「あら、フルネームで挨拶する男の人なんてなかなかいないわよ。とても律儀なのね。まぁ今日はゆっくりしていって。」
ママは、カウンターの上にお冷やとぬれたタオルを置いた。
僕らはお冷やが置かれたカウンターの前に座る。
「とりあえずビールで。」
マサキは手慣れた感じでママに頼んだ。
ママが縦長のグラス入れてくれたビールは、その辺の居酒屋で飲むビールよりも泡が細かくておいしかった。
僕はママが向こうの客としゃべってるのを確認して、小声でマサキに聞いた。
「随分若いママだね。僕らより少し上くらい?」
「いや、若く見えるけど、僕より10才上だよ。」
「えー、そんな風には見えないな。かなり若く見えるよ。」
「うん、かわいい人だ。」
そう言いながら、マサキはママを目を細めて見つめていた。
「マサキ、まさか、お前?」
僕は半分冗談でマサキの肩をこづきながら言った。
マサキは返事をしなかった。
そして黙ったまま少し泡の減ったビールに口をつけた。
ひょっとしたらマサキは10才も年上のママに恋をしているのかもしれない。
ま、それはそれで、マサキらしいか。
どういう記事でどういう関係で知り合ったのか、まだそこまで踏み込んで聞けない空気があった。
また機会を見つけて聞こう。
「ソウスケは研究職にまた復活できるみたいだけど、奥さんとは仲良くやってんのか?」
僕はビールを飲みながら、「まぁね。」と答えた。
ママがにっこりと赤い口元を緩めて尋ねた。
「俺の親友。ばりばりの研究者なんだぜ。」
マサキはニヤッと笑って僕を見た。
「初めまして。多治見ソウスケです。」
「あら、フルネームで挨拶する男の人なんてなかなかいないわよ。とても律儀なのね。まぁ今日はゆっくりしていって。」
ママは、カウンターの上にお冷やとぬれたタオルを置いた。
僕らはお冷やが置かれたカウンターの前に座る。
「とりあえずビールで。」
マサキは手慣れた感じでママに頼んだ。
ママが縦長のグラス入れてくれたビールは、その辺の居酒屋で飲むビールよりも泡が細かくておいしかった。
僕はママが向こうの客としゃべってるのを確認して、小声でマサキに聞いた。
「随分若いママだね。僕らより少し上くらい?」
「いや、若く見えるけど、僕より10才上だよ。」
「えー、そんな風には見えないな。かなり若く見えるよ。」
「うん、かわいい人だ。」
そう言いながら、マサキはママを目を細めて見つめていた。
「マサキ、まさか、お前?」
僕は半分冗談でマサキの肩をこづきながら言った。
マサキは返事をしなかった。
そして黙ったまま少し泡の減ったビールに口をつけた。
ひょっとしたらマサキは10才も年上のママに恋をしているのかもしれない。
ま、それはそれで、マサキらしいか。
どういう記事でどういう関係で知り合ったのか、まだそこまで踏み込んで聞けない空気があった。
また機会を見つけて聞こう。
「ソウスケは研究職にまた復活できるみたいだけど、奥さんとは仲良くやってんのか?」
僕はビールを飲みながら、「まぁね。」と答えた。