あの日みた月を君も
カスミの撮影を待って、忘れないうちに伝えておくことにした。

「ねー、カスミ。放課後で空いてる日ってある?」

カスミは一瞬眉間に皺を寄せた。

な、何?

嫌なら別に誘いませんけど。

「結構忙しいんだよね。何?」

撮影で疲れているのか、どうもいつもみたく愛想がない。

「忙しいなら別に構わないんだけどさ。こないだ大山くんと話す機会が欲しいって言ってたからさ。丁度いい話があったからどうかなと思っただけ。」

「え?本当に?」

一気にカスミのテンションが上がった。

へ?

私には理解できないけれど、恋する女子ならこんなもんか。

「放課後は、明日、明後日ならいけるよ!」

結構暇なんじゃん。

「実はさ、担任と大山くんが話してて、新しく天体観測部を発足させることになったらしいの。私も月好きっていうことで誘われたんだけど、まだ部員2人しかいなくて。カスミもよかったらどうかなと思って。その部についての詳細は大山くんが色々教えてくれると思うから。」

「絶対入る!」

私が言い終わるか終わらないかのところでカスミは私の肩を強く掴んで言った。

「とりあえず部員も10名くらい集めないといけなくてさ。もちろん名前だけでも構わないし、カスミもお願いできる友達いたら名前借りれるか聞いておいて。」

「わかった!」

「とりあえず、明日か明後日で大山くんに聞いてみるね。」

「っていうかさ、私も今から大山くんに相談させてもらってもいいかな?」

「あ、ああ、そうね。私が個人的にしなくても一緒に聞けばいいか。」

確かにね。

どうもこういうの苦手。

誰かの恋路の間に入ってお節介焼くの。
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