さくら 咲け
「麻奈ちゃん!」
4時間目が終わってすぐに私のクラスの教室に飛び込んでくる沙奈。
「お昼に行こう!」
「うんわかった。
ちょっと待ってね次の時間の準備しちゃうから」
と言って席を立つ私。
沙奈は私の後ろに付いてきた。
「あのね、麻奈ちゃん」
後ろから話しかけられて、私もそれに返す。
「んー?」
「私ね、佐藤と仲直りできたよ」
「おー!そりゃよかったね。
向こうなんて言ってた?」
「ごめんだって。沙奈にも、麻奈ちゃんにも。」
「んもー、私にはいいって言ったのにね」
全くもう、律儀なんだから。
それとも沙奈に無視されたのがよっぽど懲りたのかな?
「それでね、麻奈ちゃん、」
「ん?」
妙にかしこまって言う沙奈。
「今日さ、佐藤も一緒にご飯食べてもいい?」
話し始めた時からなーんか切羽詰まってる顔をしてると思ったら、本題はそこだったのね。
「うん、いいよ」
もちろんだよ。
沙奈の頼みってこともあるし、私は佐藤くん嫌いじゃないし。
「そっか!
それでさ、佐藤男子ひとりじゃん?
そしたらちょっと気まずいからさ、もう1人男子誘おうよ。」
「ん、いいんじゃない?
任せるよ。」
佐藤くん兄の場合、あの雰囲気だと別に女子2人に対して男子1人でも気にしなさそうだけどね。
「わかった!じゃあ、佐藤くん誘おう!」
ロッカーに向かっていた足を止めて思わず振り返る。
「佐藤くん?
佐藤くんって弟の圭介くんのほう?」
私の言葉にこくこくと頷く沙奈。
「そう!
あんまり話せなかったから話したかったんだ♪」
「そっか。じゃあ私が誘ってくるね。」
そんな沙奈の姿を見て私が返事をすると、沙奈は満足そうに頷いた。
「麻奈ちゃんありがと!」
しょうがない。可愛い沙奈の頼みなら。