さくら 咲け
「...っ、義理だから!」
え?
私が口にした言葉を自分で理解した瞬間、Uターンして気づいたら走り出してた。
どうして、どうして、どうしてこんなこと言っているの、私。
なんで〝義理〟だなんて。一番違うこと言っちゃうの。
良太くんのやつだけ少しだけほかの人のよりも大きいよ。
一番丁寧に作ったよ。
心、込めたよ。
なのに、どうして。
ね
好きなのに。好きなのに。どうして。
「麻奈ちゃん!!」
ほとんど叫びに近い沙奈の声が聞こえる。でも私は止まらず走り続ける。
沙奈と話した、圭介くんと話した、良太くんと、話したあの場所に。