さくら 咲け


「麻奈ちゃん、バレンタインになにかした?」


「え?」


「良太の様子が...変だったのよね。

私の声でかいから聞こえちゃってたと思うんだけど、バレンタインの日、良太の家にチョコ私に行ったのね?

そしたら、すっごく元気無くなってて。」




私の...せいかな。



私のせいだったら...どうしよう。



「先輩が戻ったあと、チョコを渡しました。


...良太くんは、前から私を好きだと言ってくれてました。


...でも、私の勇気が出なくて、咄嗟に〝義理〟って言っちゃったんです。


本当は、告白するつもりだったんですけど...、勇気がでなくて...」




説明するだけでも、胸が苦しい。



心が、心臓が、ズキズキする。



「そっか...」



先輩は私の顔を見つめて、次にこう言った。




「多分、今良太はめっちゃくちゃ後悔してる最中だね

あの子は優しいから、好きな子にそんな顔させた事を後悔してるね」


「え?」


「あなた今、すっごい傷ついた顔してる。良太のことを傷つけたことに自分で傷ついているんでしょう?」



とても優しい顔で先輩は言った。


良太くんのこと、よく分かってるんだ...。



「私、そんな顔してましたか...?」


「うん、してたよ

なんか、心臓刺された!って顔してた。
そんなことしたら死んじゃうんだけど。」



< 148 / 160 >

この作品をシェア

pagetop