さくら 咲け
「麻奈ちゃん、バレンタインになにかした?」
「え?」
「良太の様子が...変だったのよね。
私の声でかいから聞こえちゃってたと思うんだけど、バレンタインの日、良太の家にチョコ私に行ったのね?
そしたら、すっごく元気無くなってて。」
私の...せいかな。
私のせいだったら...どうしよう。
「先輩が戻ったあと、チョコを渡しました。
...良太くんは、前から私を好きだと言ってくれてました。
...でも、私の勇気が出なくて、咄嗟に〝義理〟って言っちゃったんです。
本当は、告白するつもりだったんですけど...、勇気がでなくて...」
説明するだけでも、胸が苦しい。
心が、心臓が、ズキズキする。
「そっか...」
先輩は私の顔を見つめて、次にこう言った。
「多分、今良太はめっちゃくちゃ後悔してる最中だね
あの子は優しいから、好きな子にそんな顔させた事を後悔してるね」
「え?」
「あなた今、すっごい傷ついた顔してる。良太のことを傷つけたことに自分で傷ついているんでしょう?」
とても優しい顔で先輩は言った。
良太くんのこと、よく分かってるんだ...。
「私、そんな顔してましたか...?」
「うん、してたよ
なんか、心臓刺された!って顔してた。
そんなことしたら死んじゃうんだけど。」