さくら 咲け
「麻奈ちゃん!」
その日は三月上旬とは思えないくらい暖かくて、春の訪れを感じてた。
「ん?」
名前を呼ばれて振り返ると、そこには良太くんがいた。
「麻奈ちゃん、少しだけいい?」
放課後。私はいつもみたいに沙奈を待ってた。
「う、うん」
良太くんと話すのは久しぶりで、少しどころじゃなくドキドキする。
「あの場所、行こうか」
「あの場所?あっ、」
「わかった?」
「うん」
「よかった。わかってくれて」
良太くんはにこりと微笑む。