さくら 咲け
ねぇ、良太くん。
私ね、気づいてるんだよ。
抱きしめた時、微かに良太くんの指が震えてたことも、
良太くんの鼓動が、私と同じくらい速いことも。
「あのね、良太くん
クリスマスに作ってたマフラーね、あれ、本当は良太くんにあげられたらなって思ってた」
「まじかー
あの時頼んだらもしかしてくれた?」
「んー、だめかも」
「じゃあだめだな」
良太くんは私が泣き止むまで抱きしめてくれてた。
そのままお喋りもちょこっとして。
良太くんの腕の中はとても心地よくて、なかなか離れたくなかったけど、そろそろ帰らないといけない時間になる。
「んー、また今度ギュッてしてくれる?」
私が思わずそう言うと、良太くんは
「~、バカっ、そういうこと言うと今すぐ抱きしめ殺しそうになるからやめろ」
「こ、怖いよ!?」
「大丈夫だって、そんな事しないから、多分。
そんな簡単に幸せ逃がすもんか」
「う、うん」