さくら 咲け
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「麻奈ちゃん!帰ろ!」
いつものように私の教室まで迎えに来てくれる沙奈。
とうとう明日からは林間学校。
今日は学校も午前授業で、家にすぐ帰れる。素直に嬉しい。
「今日は...ちょっとだけ寄り道しよう!」
学校から出てからそう言う沙奈。
「どこ行く気?」
どこかワクワクした表情の沙奈が気になって聞いてみる。
「スーパーだよ!
お菓子買うの!林間学校用で」
にんまりと笑いながらそう言った沙奈。
「ちょ、何言ってんの!?林間学校お菓子禁止だよ!?」
林間学校のしおりにも書いてある。
【一日目の昼食以外の食べ物は持ってこないこと。おやつは不可。】って。
「わかってるけどさ♪
私の班のみんなは持ってくって言ってたし、私もそうしよっかなって
あ、もちろん班長に内緒でだよ?」
「馬鹿っ!
決まりはしっかり守りなさい」
日向くんの頑張りを見てた私は思わずそう言う。沙奈は班長の頑張りを知ってるだろうけど、多分林間学校が楽しみすぎてそれどころじゃないんだろうな。
今まで頑張ってきてくれた日向くんに、班長さんにこれ以上仕事を増やさないようにしたい。
「えー
麻奈ちゃんも一緒にお菓子もってこ?」
私に止められたことに少しだけ頬を膨らませる沙奈。
「やーだ
持っていく必要ないし、班長に失礼だもん。
沙奈、本当に買う気なの?」
「.........買わない」
私に言われて少し悩んだ末、沙奈はそう答えた。
「よろしい」
周りの子に流されずに済んだね、沙奈。
日向くん言ってたけど、見つかったら荷物検査されるところだったんだよ。
翌日の洋服のポケットや、ポーチの中身まで。
広めないでって言われたから言わないけど。
やっぱ、沙奈がそんなことされるのはかわいそうだし。
せっかくスーパーに来たので、2人で林間学校用じゃないおやつを買った。