さくら 咲け


「ほほう?
麻奈ちゃんは、成り行きで佐藤くんの事を下の名前で呼ぶようになったと??」



電車内。



今は全体で自由行動の時間。学年全員が電車内をぐるぐると回って仲のいい友達と、カードゲームなどを楽しんでいる。



なのに、だというのに私、いや、私達は班で決められたところにトランプをするわけでもなく居座ったままである。



私の向かいにニヤニヤした花穂ちゃんと頬を赤らめている朱里ちゃん。



「そんなに積極的だったんですね」



「大発見ですね。」



「尊敬ですね」



私が一言発する度にこの口調。

いい加減、麻奈ちゃん泣くけど!!?




そんな私に気づいたのか、花穂ちゃんは笑いながら言う。



「ごめん、ごめん。
あまりに反応が面白くて。

びっくりしたのは本当だけど」



重ねて朱里ちゃんも、



「ほんとだよね。

私なんて、男子と話すのもやっとだから...会話なんて続かないよ」



と言った。



たしかに、中野くんと喋ってた時以外は本当に男子と話してる姿を見ない。



「ここからの動きで日向くんに聞きたいことあったんだった。ちょっと行ってくるね。」



と言って花穂ちゃんが席を離れる。


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