さくら 咲け
「よし、登録完了☆」
圭介くんの携帯に、沙奈のアドレスが入って、アドレス交換は終わった。
「そういえば沙奈、何買った~?」
「洋服だよ!」
「麻奈ちゃんは~?」
「私?買ってないよ」
私の返事に、驚いた顔をする良太くん。
「えっ、買ってないの?」
「うん、買ってない」
「もぉ~、良太からも言ってよ!
麻奈ちゃん、全然服買わないの!
麻奈ちゃん可愛いから似合う服沢山あるのに」
「やめてよ沙奈
沙奈の方が可愛いんだから。
沙奈が可愛ければ私はそれでいーの」
そう。沙奈が可愛ければそれでいい。
お姉ちゃんの方が地味だねって言われても、それでいい。大好きな沙奈が可愛いって言われてれば、それでいいの。
それに、簡単に言っちゃうとお洒落するのめんどくさいし。
「もったいないなぁ、麻奈ちゃん。
おしゃれすれば沙奈くらいになるのに」
「ふふ、良太くん、沙奈が可愛いこと認めたね?
私はそうやって、沙奈が可愛いことを知ってる人がいればいいの~」
「麻奈さん、今でも十分可愛いのに」
...え
「圭介くん!?何言ってるの、沙奈の方が可愛いよ
私なんかより、全然可愛いよ!?」
「いや、誰かと比べるんじゃなくて、単体で。
もちろん、沙奈さんも可愛いけど、麻奈さんも十分なくらい可愛いよ」
.........顔、赤いよね。私
「だよなぁ~」
圭介くんの横で、良太くんも頷いてる。
「ほら!麻奈ちゃん、みんな言ってるじゃん!
だから、お茶終わったら麻奈ちゃんの服も買いに行こー?」
「えぇ、沙奈、本気で言ってるの?
帰ろうよ」
「今逃したら絶対買わない気がする」
「そのとおり」
「ちょっと~、麻奈ちゃん!」
沙奈と話しながらも、頭の中でずっと残ってる、〝麻奈さん十分可愛いのに〟の言葉。
圭介くんに、可愛いって言われた。
冷めきらない、熱。