さくら 咲け
***
「あ!麻奈ちゃんいたー!
おーい!こっちこっちー!」
お昼。ラウンジで大きな声で私の名前を呼んでるのが、双子の妹の沙奈。
知らせてくれるのはありがたいんだけど、声がでかいなぁ...
「ごめんね、次の授業の準備してたら遅れちゃった。」
「んもー!麻奈ちゃん真面目!
私なんて挨拶してダッシュでここ来たよ~」
誇らしげに沙奈は言う。
「ちょ、沙奈それ大丈夫なの?」
「んー?大丈夫に決まってるじゃーん
麻奈ちゃんが心配しすぎなのー!」
私が心配しても、能天気に答える沙奈。
まぁ、沙奈は昔からこんなだけど大きな問題を起こしたこともない。
人間関係で言っちゃえば私よりも優秀だから、なんにも心配する必要はないんだけどね。
「麻奈ちゃんのクラス、班決めしたー?」
購買で買ったパンにかじりつきながら沙奈が聞く。
「うん、決めたよ~」
私も同じようにかじりつく。
「やっぱりそうなんだ~
どんな班だったー?」
ほっぺたに付いたマヨネーズを親指で取りながら、沙奈が聞いてくる。
「んーとね、ちゃんとしてる人がいるし、ムードメーカーもいるから、結構いい班かな~
沙奈は?」
マヨネーズを取る沙奈を見ると、私も少し気になって、ほっぺたを触ってみるとマヨネーズが付いてた。
...高校生になったんだからしっかりしなくちゃ。
「私もだよー
私とテンポが合う男子が一人いてね、すごい居心地がいい班だった!
あ、そういえばその子麻奈ちゃんのクラスに弟いるって言ってたんだけど、知ってる?」
ん?
同い年の沙奈と同じ班で私のクラスに弟って言ったら...
「もしかして佐藤くん!?」
「そう!やっぱ知ってた~」
「知ってるも何も、同じ班だよ!?」
そっかぁ~、佐藤くんにも沙奈と同じテンションなお兄ちゃんがいるのか。
だったら私たちみたいに性格違う双子も珍しく無いのかも。
「それはびっくりだぁ~
どんな子?性格似てるかな?」
思ってたよりも反応が薄いね、沙奈。
もうちょっと驚こう?お姉ちゃん悲しい。
「んー、いや、違うと思う。
佐藤くんのこと、よく知ってるわけじゃないけど、私が今日見た佐藤くんは沙奈みたいに元気な感じよりも、おとなしい感じだったかも。」
「そうなんだ~
なんか私たちみたいだね~」
「ねー」