さくら 咲け
「あれ?金井じゃん」
「「ん?」」
呼ばれて2人で同時に振り向くと、何やら見たことがある人が私の後ろに立ってる。
でも何かが違うような...?
「あ、佐藤!」
沙奈が呼びかけにこたえたってことは...
佐藤くんのお兄さんか!
「よっ!
あれ、君は...?」
「ふふん、佐藤の前に座ってるのが私の双子のお姉ちゃん!麻奈ちゃんだよ!!」
ほほう、顔は似てるけど雰囲気は全然違う佐藤くん...。
なんか面白いなぁ。
「ふーーん」
その佐藤くん兄は私のことをじっくりと見て、スッと沙奈の方を見ると、
「地味だな。」
と、一蹴。
「はあああああああ!?」
それを聞いた直後の沙奈。
ちょ、ダメだよ佐藤くん兄。沙奈はなぜか昔から私がけなされると私以上に怒るんだからっ!
ほんとになんでかわかんないけど!
「ちょ、沙奈落ち着い 「麻奈ちゃん!何がいいの!?そんなこと言われて落ち着いてられっかっての!!」
うわぁ...ガチギレだぁ...
今まで中学の時は小学生の時の友達から聞いてたのか別の小学校出身の子もそんなこと言わなかったけど、高校では知り合いいないからなぁ...
「ちょっとさぁ、初対面の人に対してそれはないんじゃないの!?
しかも人のお姉ちゃんなんだよ!!?
あんたどれだけ失礼なことしてんのかわかってる!!!?」
「お、おう。わりぃわりぃ。
そんな怒ると思わなくてさ。
普通に笑い話になるかと思って」
その言葉を聞いて沙奈は余計にキレて...
「ふっざけんなっての!
人のことけなしといて笑い話とか全く笑えないんですけど!?
あんた今までどんだけ人のこと傷つけて笑ってきたの?信じらんない!」
沙奈は今にも殴りかかりそうなくらい怒ってる。
あぁ...ここ、ラウンジだよ...?
ほかの人からの視線が痛いよぉ...
私こういうの慣れてないんだって...注目されるの嫌だぁ...
「あれ、良太じゃん」
突然聞こえた声にもしやと思って振り向く。
「佐藤くん!」
「圭介!」
私と佐藤くん兄は同時に叫ぶ。
同時に呼ばれた佐藤くんはちょっと引き気味で
「なんかラウンジでお前に顔似たやつが喧嘩してる人がいるって聞いたから来たけどやっぱり良太か
またなんか失礼なこと言ったの?」
またって、佐藤くん兄、今までもそんなことあったってこと?
よく懲りないね、学習しなよ。
「あんたが佐藤の弟?」
キレ気味の口調で沙奈が聞く。
「うん。そうだけど。
君は?」
落ち着いてこたえる佐藤くん。
「金井沙奈。そこの麻奈ちゃんの妹だよ、双子の。」
簡単に自己紹介を済ませる沙奈。
佐藤くん弟と話してたら気持ち落ち着いてきたかな?
「沙奈、そろそろチャイムなるよ。早く教室戻ろ?」
落ち着いてきたのを見計らって沙奈に声をかける。
「あ、えっと、佐藤くんたちごめんね。騒がしくしちゃって。
私のことは気にしなくて大丈夫だよ。沙奈には明日になったら声かけてあげて、今日はまだ多分機嫌悪いと思うから。」
佐藤くんたちには一応耳打ちしといた。
「ねぇ、呆気に取られてないで先に誤ったらどうなの佐藤。」
怒ってる沙奈が佐藤くん兄に言う。
声にドスが効きすぎてる。女子高生こんな怖いんだ...。あ、私もだ。
「え、あっ、ごっごめんな、金井。
失礼だった。」
しっかり頭を下げてくれる佐藤くん兄。
そういう所はちゃんとしてるんだね、弟の佐藤くんに似てる。
「ううん、ほんとに気にしてないから。大丈夫だよ
じゃあ、私たちもう行くね。ばいばい」
そう言って食べ終わったパンの袋をもって沙奈とラウンジを後にする。
昼休み終わりのチャイムがなる五分前だった。