さくら 咲け
再び来た、階段の踊り場。
私と良太くんの2人で並んで座る。
「良太くんに、報告。
私、振られたよ。」
「えっ」
私の突然の言葉に驚いて言葉が出ないみたい。
「な、んで、伝えたの?
伝えるつもりないって...」
「私も本当は伝えるつもりなかったよ。
でも、沙奈に...沙奈に、言われたから。」
「沙奈に?」
「ちゃんと伝えろって、言われちゃった」
「...そうなんだ」
「うん。
でも、伝えてよかったよ。スッキリした。」
「麻奈ちゃん...」
いつまでも、ウジウジしてらんない。
笑顔に、笑顔に。
笑顔に、ならなくちゃ。
「スッキリしたけど、私はしばらく恋愛はいーや。
あと一年くらいしたら、また新しい恋したいなって!」
「麻奈ちゃん...」
「ごめんね、嫌な話聞かせちゃって。
戻ろう?」
「...麻奈ちゃん。」
「どうしたの、良太くん。さっきから私の名前ばかり呼んで。」
「麻奈ちゃん、ここには俺と麻奈ちゃんしかいないよ。」
...っ、
「俺になら、言ってもいいんだよ、麻奈ちゃんの気持ち。
抑え込まずに、言っていいんだよ。」
......っ、
どうして?
どうして優しくするの?
どうして今の私に優しい言葉をかけるの?
ポタリと服に何かが落ちて、それが少しずつ広がる姿を見て、涙を流したのだとわかった。
私、泣いてる。