僕らの空

「…それは恋だよ。」
「恋?」

桜は『やれやれ』と言うかのようにため息をついた。

「蒼ちゃんったら高校生にもなって恋の一つもしたことないの?」

恋愛以前に、俺は人と真剣に向き合うのが苦手なため、たいてい人と一定の距離を置いてしまう。

「…ない。」
「キスしたことは?」
「ない。」
「告白されたことは…たまにあったね。でも付き合ったことは?」
「…ないよ。」

俺は臆病者だから彼女なんて考えられなかった。

興味がなかったわけじゃない。
彼女がいる奴をうらやましいと思ったことなら何回もあったし、
お互いを信じて支え合える存在っていいなってとても思う。

でも自分のことを知られるのが怖いんだ。

全てを知ってもそばに居てもらえる自信がないんだ…
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