僕らの空
今日は早くきちまったな…
練習時間は9時からだったのに、暇だったので7時に来てしまった。
芝生に寝転んだ。
眠りにつこうとした時だった。
「あれ、坂口じゃね?」
この声は…
忘れもしない。
中2の夏、関東大会準々決勝でキャッチャーをしていた須田さんだ。
「…お久しぶりです。」
「お前…」
須田さんは何か言おーとしたが、キャプテンの集合の合図で「また後で」と走って言った。
目を閉じるとあの金属音。
球児たちの掛け声。
グランドの匂い。
スタンドからの歓声。
すべてが蘇る。
耐え切れなくなった俺は目を開く。
あの日とは違う空。
「…くそっ」