嫌いなアイツ。



私が歌手になりたいと思ったのも、るかがキッカケだった。

学校帰りに好きな歌を歌いながら帰ってたら、隣でクールに聴き流してたるかが
「歌上手いんだから歌手になればいいじゃん!」
って、軽い気持ちで言ったのかもしれない。

でも、私はるかに言われたってだけで
嬉しくて頑張ってみたいと思った。

「やってみよーかな…♪」

その時のるかの表情は私は全然気にしてなかった…
それから、私が夢を追いかける生活が続いて、ある日の別れ。


私は、なにかしたのかなってずっと考えてたんだ…
でも、出てこなかったから私は今
るかに気持ちを伝える為に歌ってるの。

きっと、私の歌を聴いてくれている人たちは思ってるはず。
なんでこの人はこんなに伝わらない人に伝われ!って感じる様な歌ばかり歌うのかって…。

私は、少し売れ始めた歌手だから
少しずつだけど皆に聴いてもらう機会が増えた。

街を歩いていても少しずつだけど
声をかけられたり握手を求められたり。
少しずつだけど、階段は登ってる。

私はるかが聴いてくれたらなって毎日思って歌ってるんだよ…るか…



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