愛され婚～契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます～

にこやかな彼女の表情から感じられる余裕。
だが私は、意味がわからず、ただ戸惑っていた。

「あなたは……？」

「私は東堂聖羅。奏多さんは今、私の父と話しているの。私の父は、月島の中では大きな力を持っているわ。奏多さんにとって、一番怒らせたくはない相手だと思う」

この人が私になにを伝えに来たのか、話の序盤だけでわかる気がした。
ここにいるということは、彼女も奏多さんの花嫁候補のひとりであるはずだから。


「今日集まった人々は、あなたの存在を知るまでずっと、ほとんどの人が最終的に奏多さんと結婚するのは私だと思っていたはずよ。彼は父には逆らわないはずだから」

私はドアを閉めることもできずに、ただ彼女の話を聞いていた。

「私だって、奏多さんが本当に愛する人に出会えたのならば、祝福したいと思ってるわ。だけど、彼の立場はどうなるのかと考えたら、賛成しかねることのほうが多いの」