愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
消えない温もり
「瑠衣。部屋に入ろう」
奏多さんの背中を見送りながら涙を流す私に、海斗がため息交じりの声で言う。
もう聞くことができない彼の声。
私だけに向けられていた笑顔。
優しく触れ合った唇。
なにもかもが愛しくて、身を切られそうな感覚だ。
私は予定よりもずいぶん早くに、彼を失ってしまった。
もう彼はそばにいないのだという実感がない。
「いや……離れたくない。奏多さん……行かないで」
小さな声で想いをつぶやく。
その背中は振り返ることなく、遠くで待機していたダックスフンドに乗り込んだ。
ここであなたを見失えば、二度とは話せなくなる。
「瑠衣」
海斗が私の背を押し、部屋に入ろうとした。
それを振り払い、私は駆け出した。
車はゆっくりと発進し、遠ざかっていく。
「奏多さん、奏多さん」
泣きながら彼を呼び、車を追った。
だが追いつけるはずもなく、角を曲がった車は見えなくなった。
私は足を止め、その場に泣き崩れた。
いくら涙を流しても、あなたは手の届かない場所へと戻っていった。
キラキラ光る思い出と、狂おしいほどの恋心を私の心に残して。
奏多さんの背中を見送りながら涙を流す私に、海斗がため息交じりの声で言う。
もう聞くことができない彼の声。
私だけに向けられていた笑顔。
優しく触れ合った唇。
なにもかもが愛しくて、身を切られそうな感覚だ。
私は予定よりもずいぶん早くに、彼を失ってしまった。
もう彼はそばにいないのだという実感がない。
「いや……離れたくない。奏多さん……行かないで」
小さな声で想いをつぶやく。
その背中は振り返ることなく、遠くで待機していたダックスフンドに乗り込んだ。
ここであなたを見失えば、二度とは話せなくなる。
「瑠衣」
海斗が私の背を押し、部屋に入ろうとした。
それを振り払い、私は駆け出した。
車はゆっくりと発進し、遠ざかっていく。
「奏多さん、奏多さん」
泣きながら彼を呼び、車を追った。
だが追いつけるはずもなく、角を曲がった車は見えなくなった。
私は足を止め、その場に泣き崩れた。
いくら涙を流しても、あなたは手の届かない場所へと戻っていった。
キラキラ光る思い出と、狂おしいほどの恋心を私の心に残して。