愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
__「ねえ、奏多さん。……ここはどこなの」
翌日。
昨夜はあのまま彼の家に泊まり、朝早くに起こされた。
そのまま彼の所有する自家用ヘリコプターに、彼のマンションの屋上にあるヘリポートから乗り込み、意味がわからないまま現在地に連れてこられた。
ヘリで一時間ほどの位置にあるこの場所には、豊かな緑と、プライベートビーチが広がっていた。
彼はサングラスにビーチサンダル、真っ白なシャツとショートパンツといったラフな格好をしている。
スーツ姿しか見たことがなかったが、妙に似合っている。こんな奏多さんも新鮮だ。
私は今朝、彼に手渡された軽い素材のワンピースを着ていた。今朝早くに、伊吹さんに届けさせたようだ。
伊吹さんが選んだのだろうか。小さなリボンが胸元にいくつかついている、かわいいデザインの真っ白なワンピース。
伊吹さんはどんな顔でこれを用意したのか、想像できない。
「ここは俺の別荘がある島。国内だよ」
彼は手短に説明すると、目前に広がる海を眺めた。
「やっぱりここは暖かいな。もうじき秋だけど、泳げそうだ。だけどプールのほうがいいかな」
私は彼に手渡されて被っている麦わら帽子を、風にさらわれないように押さえる。
「本当に、意味がわからないんだけど。どうしてこんなことになってるの」