愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
あらためて、彼と私の違いを見せつけられる。
どう見ても、別荘のレベルじゃない。

「奏多さま。お待ちしておりました」

城のような別荘の入口で、私たちを出迎えたのは数名の人たち。
その中に伊吹さんがいる。

「伊吹。早かったね」
「はい。奏多さまの到着に間に合いました」

伊吹さんに、私も挨拶をする。
「こんにちは。よろしくお願いします。今朝は服を、ありがとうございます」

彼はニコリともしないが、口調は穏やかだ。

「いえ。ごゆっくりおくつろぎくださいませ」

奏多さんについて、早速中に入っていく。
リゾート地を思わせるような、爽やかな内装に、風が吹き抜ける解放感のある空間が広がっている。

「素敵なところね」
「気に入った?これからはいつでも来ていいよ。俺の奥さんなら、君の家でもあるから。ヘリですぐだし」

「めっそうもない!」
「武士かよ」

私が謙遜して言うと、彼はまたしても楽しそうに笑う。

「奏多さんを知る前は、月島CEOってもっと厳しい人だと思っていたわ。いつも眉を吊り上げて、険しい顔でいたでしょ?近寄り難い人に見えたわ」

彼は顔をしかめる。

「眉を吊り上げて、は余計だろ。そりゃ、仕事中にへらへらしないよ。それに俺が笑うのは、君といるときだけだから」




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