愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
龍さんの冗談に、奏多さんは付き合うつもりはないらしい。
「だからお前は、そういうことを言うなって言ってるだろ?」
怒った声の奏多さんを、龍さんは待っていたかのようにからかう。
「あはは。また必死かよ。実はそんな奏多を見たくて言ってるんだよね。面白すぎ」
呆れて奏多さんはそっぽを向く。
「せっかくイチャイチャしてたのに、邪魔して悪かったよ」
「ほんとに邪魔だよ」
ふたりが従兄弟同士なのが、不思議でたまらない。
顔は似ているが、性格は真逆だ。
「じゃあ、夜にまたね」
龍さんが出ていき、私は奏多さんに尋ねた。
「夜になにかあるの?一緒にご飯とか?」
奏多さんは私のほうに向き直り、答えをはぐらかす。
「なんだろうね。ところで瑠衣。さっきの続き。瑠衣からして?」
「えっ」
目を閉じた奏多さんを見つめる。
やっぱり綺麗な顔だと思う。
CEOじゃなくても、彼ならば女性には困らないだろう。
「瑠衣?早く」
片目をうっすら開けて、彼がキスを催促する。