愛され婚～契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます～
それから私たちは、四人で砂浜へとやってきた。
盛夏を過ぎた午後の日差しはまだまだ強い。

「四人でビーチバレーですか。なんだかね」
伊吹さんがつぶやくが、あとのふたりはそれを聞き流している。

「よし、奏多。俺の本気を見せてやる」

「伊吹がいれば、俺は敵なしだ。彼のサポートとともに、今の俺がある。伊吹と組んで負けることはない」

「勝手なことばかり言って。いつも俺の話なんか聞いてはいないくせに。調子がいいな」

伊吹さんの話し方が砕けている。本人は気づいているだろうか。
仕事を離れた、束の間の三人。これが本来の関係なのだろう。

小さな頃からともに過ごしてきたという三人は、絶妙なバランスでお互いを尊重し合っている。
この人たちが、世界に名を轟かせているグループ企業のトップだと、今の彼らを見て思う人はいないだろう。
派手な柄のシャツとパンツを着て、虹色に反射する奇抜なサングラスをかけているのだから。

「瑠衣ちゃん！いくよ！自称名コンビをボコボコにしてやる」
「はいっ」

龍さんに呼ばれ、私は簡易コートに入った。

「だから、そんなことは言ってないってば。龍くんが勝つに決まってるだろ」
伊吹さんのつぶやきに、私は大笑いをした。





ビーチバレーの結果は、伊吹さんが言った通り、私と龍さんの圧勝だった。
と言っても、スポーツ万能の龍さんが、ほとんどひとりで技を決めていたけど。

ふたりは用があるからと別荘に戻り、私は奏多さんとふたり、砂浜に並んで座っていた。

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