愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
彼のサプライズ
別荘に戻っても、出かけたときと様子が変わったわけではなかった。
薄明かりの中で、ほんのりと灯る外套が幻想的だということ以外は。
彼に手を引かれたまま、部屋に戻る。
「シャワーを浴びておいで」
奏多さんに言われて頷く。
本当の目的とは、いったいなんなのか見当もつかない。
潮を身体から落とし、バスローブを羽織って部屋に戻る。
だがそこに、奏多さんの姿はなかった。
「奏多さん?」
部屋の中を探すが、彼はいない。
ふとベッドの上を見ると、大きな箱が置いてある。
近づいてよく見ると、メモが添えてあった。
『このドレスを着て、二階のテラスにおいで』
綺麗な字で書かれたメッセージ。
状況が飲み込めないまま、箱をそっと開けてみる。
「わあ……綺麗」
中に入っていたドレスを取り出して、思わず感嘆の声が出た。
今日、島に来て最初に見た空のようなスカイブルーのシンプルなドレス。その全体に、婚約指輪のダイヤモンドのようなスパンコールが散りばめられていた。