愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「ええ!?な……!」

驚きで声も出ない。

目の前には、たくさんの人たちが立っていた。

「お……お父さん。お母さん?」

私の両親を始め、海斗、海斗の両親。
同僚の沙也加に、月島建材の営業課のメンバーたちまでいる。

皆にこやかな表情で、一斉に拍手をしていた。

「これは……」

唖然とする私に近づいてくる、ひとりの男性。

「奏多さん?どういう……」

彼は私の前で足を止めると、私に微笑んだ。

「婚約者のお披露目会をやり直そうと思ってね。ヘリで皆さんを連れて来ちゃったよ。俺の花嫁を自慢したくてさ」

皆は拍手の手を止めて、私と奏多さんを見ている。

「瑠衣、おめでとう。遊ばれていたわけじゃなくて安心したわ」

「海斗くんが祝福してるなら、我々が反対はできないからな」

両親の言葉に涙が溢れてくる。

「お父さん、お母さん。ごめんなさい。海斗と結婚できなくて」

誰よりも海斗との結婚を楽しみにしていた私の両親は、二人揃って首を横に振った。

< 181 / 184 >

この作品をシェア

pagetop