愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「いいのよ。あなたたちが皆、幸せならば。ね?」

母が隣にいた海斗の両親のほうを見た。

「そうよー、安心して。うちの海斗はモテるから。瑠衣ちゃんに振られるくらい、なんでもないのよ」

「瑠衣ちゃん、おめでとう。海斗と結婚するよりももっと、幸せにしてもらいなさい」

「ありが……」

もう言葉にならない。
涙にむせぶ私の肩を、奏多さんがそっと抱く。

「笑って、瑠衣」

奏多さんが耳打ちをしてくる。
私はぐちゃぐちゃな顔に、無理やり笑みを貼り付けた。

「有森。おめでとう」

山内さんが言う。その隣で、沙也加が親指を立てて私を見る。

「瑠衣、すごい!本当、嘘みたい」

「皆……ありがとう」

伊吹さんがあの日と同じように、奏多さんにマイクを手渡した。

『皆さま。今日は急なお願いにも関わらず、こうしてお集まりいただきありがとうございます。実は……私たちの婚約は、初めは本物ではありませんでした』

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