愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
CEOの話を聞きながら、私は別のことを考えていた。
この話を引き受ければ……海斗と結婚しなくてもよくなる?
月島CEOよりもハイスペックな彼氏なんて、これからできるはずもない。こんなすごい人と、どこで知り合うというのよ。

海斗と両家の両親、周囲の人たちすべてを納得させるには、海斗以上の恋人を連れてこないと。

……だからといって、これほどの人じゃなくてもいいのだけど。

「恋人のフリをすることは……実は私にとってもメリットがあります」

思わず言っていた。

「え?」

「私には、いつの間にか結婚間近だと思われている、幼なじみがいるんです。彼は私をぞんざいに扱う割には、なぜか結婚することを受け入れています。彼のことは大切な友達だとは思っていますが、恋愛感情はお互いにありません」

先ほどまで緊張してガチガチだったはずなのに、なぜか海斗の話はすんなりとできた。
私もCEOと同じで、自分が置かれた境遇をどうにかしたいと願っているからだろうか。

「両親も、彼との結婚を喜んでいます。だけど……どうしても、彼をそんなふうには見れなくて」

黙って話を聞いていた彼だったが、なにかを考えるような顔をしながら、顎に手を当てた。

「その彼は、君が好きだから結婚したいんじゃないの」

「いいえ。そんなはずはありません。結婚したい理由を尋ねると、私が相手だと楽だからだそうです。確かに、お互いに気は遣いませんけどね」




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