愛され婚～契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます～

「勘違い？俺が瑠衣を好きだと思ってしまうってこと？……いいんじゃない？それほど真に迫るものがあるなら、絶対に周囲にバレることはないからね」

そのまま彼が突然、私の唇を塞いだ。

なっ……！
私は驚いて、逃れようと顔を背ける。
だけど顎を掴まれ、再び元の位置に戻された。

それはあまりにも突然で、激しい衝撃が全身を走り抜けるような感覚だった。

私は抵抗することも忘れ、彼の閉じられた目を至近距離で見つめた。
滑らかな肌と、不自然なほどに長い睫毛。

これまでに彼は、何度こうして女性に触れてきたのだろう。
私も彼の前に現れては消える、女性のコレクションのひとりとなったのだろうか。

「んん……」

いろいろ考えるが、彼の唇の動きが私の頭の中にあることを消していく。
やわらかくて温かい。人の唇が、こんなに心地よいものだと初めて知った。

「奏多って……呼んで。瑠衣……」

彼が話すと、吐息が混ざりあって息苦しくなる。

「ね……？そしたらやめてあげるから……。ほらドアが開くよ……」