愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「なに?今さら後悔してるの?」
緊張でガチガチになっている私に、奏多さんが笑いながら言う。
「後悔なんて……だけど急すぎて」
やっとの思いで言うと、彼はさらに言った。
「とりあえずは、君の幼なじみに会わないとな。君との結婚を諦めてもらおう」
「海斗に!?いや、諦めるというか、海斗との縁談は成り行きであってですね」
海斗になんて会わせたら、海斗がなにを言いだすかわからない。
奏多さんをとてつもなく怒らせてしまうのかも。
CEOを怒らせたなら、さすがにクビになるんじゃないだろうか。
長澤のご両親を悲しませてしまう。
「大丈夫。うまくやるよ。瑠衣を愛してるって、彼にしっかりと伝えるから」
「そっそういうことじゃなくて」
いろんなことが一気に起こり、頭の中の処理がついていかない。
「奏多さんは海斗に会わなくてもいいです。私から伝えますから」
しどろもどろになりながら、なんとか伝える。
「え?まだ彼とふたりで話ができると思ってるの?ふたりきりになんて、するはずないだろ。ダメだ。俺も行くよ」
そう言って彼は、私の手をそっと握る。
「瑠衣は本当にかわいいよ。君が初めて経験する恋の、これから始まるすべての相手が俺だと思うと、大切にしたいって思うだろ。ほかの男が君に触れたらと思うと、気が気じゃない。まあ、俺たちは本物じゃないけどね」