愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~

奏多さんは甘い視線で私を見つめる。
ただでさえ免疫のない私が、それに太刀打ちできるはずもない。
濡れたように輝く瞳が、私の目の前で揺らめくのをぼんやりと見つめる。

「瑠衣……わかって。君が心配なんだ。君がかわいくて、仕方がない。誰にも渡したくないんだ。君を守りたい」

それはどういう感情なの?
私を好きになったの?
出会ってから一時間ほどしか経っていないのに、そんな目で私を見るなんて。

「ふふっ」

急に彼が笑った。

うっとりと彼を見ていた私は我に返る。

「こんなふうにかけひきをするのはどう?疑似恋愛とはいえ、スパイスは必要だよね。単調だと飽きちゃうからさ。言ってほしいセリフとか、してほしいことがあれば言って」

私は顔から火が出そうなほどに恥ずかしくなった。

彼は本気じゃない。私を喜ばせるために、甘い恋人を演じただけだ。
真に受けそうになるなんて、バカ丸出しだ。

「飽きるも飽きないも、演じるだけですから。余計なサービスはなしの方向でお願いします」

私は少し拗ねたのだろうか。
ムカムカしてくる。
どうしてからかうようなことばかりをしてくるのだろう。

握られていた手をサッと引き抜き、私は彼から目を逸らすと正面を向いた。

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