愛され婚～契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます～
「あれ、怒ったのか？参ったな、君に冗談は通じないわけだ」

そのバカにしたような言い方に、さらにムカッとくる。

「ええ、そうです。私は素直で純粋ですから」

真剣に言ったのに、彼は大笑いした。

「あははは。自分でそう言っちゃうんだ。君は本当に面白いよ」

「なにがおかしいんですか。本当のことを言っただけですけど」

なんて失礼な人なんだと思う。
考えてみれば、初対面の相手とすぐに結婚しようとしているのだから、当然かもしれないが。
あ……私もか。

「瑠ー依。ごめんって。こっちを向いて」

「向きません。かけひきもスパイスも、いりませんから」

私たちは同類だとわかっていても、ここで引き下がれない、妙な意地が湧いてくる。
確かに今まで、彼氏がいたことはないし、中野さんには秒殺で振られた。
海斗にはいつだって見下されている。
私だって、自分が男性の心を掴むような女じゃないことくらいはわかっているけど、純情をもてあそばれるのは不愉快だ。


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表紙・目次

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