愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「つ……つ……月島CEO……」
沙也加はパニックに陥っているかのように、口をパクパクさせながら呟いた。
「奏多さん……本当に?」
私も信じられない思いで彼を見つめる。
「なに?幽霊でも見たような顔をして。相変わらず面白いな、瑠衣は。ここに来たら監視するって言っただろ?いつ俺が現れても驚かないように、いつでも俺のことを考えていてよ」
彼はそんな私を見てクスクスと笑う。
「それともまさか、愛する婚約者の顔を忘れたのか?もしもそうなら、お仕置きが必要かもね」
「えーっ!?こっこっ!婚約者!嘘っ!」
沙也加は大きな声で言ったあと、私と奏多さんを交互に見る。
「なんで?なんで話してくれなかったの!」
興奮する沙也加に、奏多さんはにっこりと笑いながら言う。
「ごめんね?俺が口止めしてたんだ。だけどどうせバレるから、カミングアウトしようと思ってさ」
さりげなく私を庇ってから、彼は私のほうを見た。
「もう終わるだろ?今日は久々に接待もないし、デートでもしようと思って迎えにきたんだ。このあと、なにか予定はある?」
「なっ……ない」
私が言うと、彼は「よかった」と言って安堵したように笑った。