愛され婚~契約妻ですが、御曹司に甘やかされてます~
「なあ……俺との結婚が、そんなに嫌……?」
その直後に、耳元に囁かれる声。
その声は、長年聞いてきた彼のものではないかのように、甘く響く。
「か……海斗。お、起きてたの?びっくりしたぁ」
わざと平気な声で言う。
私たちには、甘い囁きなど似合わない。
お願い。どうか、身体を放して。どうしたらいいのか分からずに、頭が混乱していく。
「瑠衣は、本当に俺が嫌いなのか?……どうしても、ダメか?」
私の願いも虚しく、彼の私を抱く腕の力が強まる。
「女遊びをやめたら、俺を信じるか?……お前だけだって。瑠衣が信じてくれるなら、もう女たちの誘いには乗らない。今会ってるやつらも、全部切る」
「海斗……。やめて……」
全身の力が抜けていく。足が震えてるのが分かる。
……と、そのとき。
「ははっ。バァーカ。ビビってんなよ。マジでウケる」
パッと身体が解放される。
「えっ?」
彼を振り返った。