片想いレンズ
「よっ。」
そう言って、君が片手をあげた
暗室に資料を運ぶために、例の優しい写真を撮る後輩に手伝ってもらって、職員室まで行っていた
間に君が、暗室の前に立ってた
隣に立つ後輩くんは、なんでだか君に威嚇モードを発令していて
空気が痛い
「先、入ってて」
未だ、猫のように毛を逆立ててる後輩くんに鍵を渡す
その子が部屋に入ったのを見届けて、君が言った
「なんか俺、あの子から敵意むき出しにされてるんだけど…」
怯える君を笑ってやった
「好きだって言われた。」
驚いたように君が目を見開く
「あいつに?」
そうだよ、私、好きって言われたんだよ。
「よかったじゃん。」
頷いた私をみて君が言った
"よかったじゃん"
そっか、そうだよね
「…よかった。それより君は?
なんでココにいたの?」
なんでもないように言った。
そうでもしなきゃ泣いてしまいそうだったから