片想いレンズ
澄んだ目が少しだけ、揺らいで言った




「俺じゃ、


だめですか?」




何も答えない、私に、後輩くんはうつ向く。   



 

「先輩が、俺のことなんとも思ってないの知ってます。

名前だって覚えてくれてるのか、危ういし、





痛いところ、突かれた





俺、オクヤです。山奥のオクに、屋根のヤ。」



「奥屋くん、」


私がそう呟くと、'そうです'って奥屋くんは嬉しそうに笑った




そして、その目で、私の目をみた。





「俺のほうがあの人より、先輩のこと好きです。」




"あの人より"



一緒だ。





「どうして、奥屋くんは私なんか好きになってくれたの?」



奥屋くんは、少しだけ考えて言った



 



「気がついたら、

あの人、いっつも一生懸命、写真撮ってるなって思って。

皆の嫌がること、皆が気がつかないところでコツコツしてて



気になって見てたら、いつの間にか、良い所いっぱい知ってて、

気がついたら好きになってました。」




嬉しくて、笑ってしまう




「私もだ。」





澄んだ目がまた私に問いかける





その澄んだ目に、私は嘘をつけない








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