フラれるならこの日がいい。
「・・・・・・うん」
夏菜は、特に驚きはしなかった。
『援交』とは『援助交際』の略で、言い換えれば、報酬のもらえる擬似的恋人関係、もっと過激に言えば、売春とそう変わらない。
俺たちにとって『援交』という言葉は、そんなに身近じゃない。
そもそも、普通の恋愛・恋人すら、俺からしてみれば少し非日常で、そこに報酬が発生するなんて、考えられない。
それでも夏菜があまり反応を示さなかったのは、それほど実希の名前がそのことで通っていたからだ。
「だけど、もちろん実希は産まれたころから『援交』をしていたわけじゃない。
俺と実希は、市外の同じ保育園に通ってたんだ。家が近くて、わりと仲が良かった。
俺は小学校に上がるタイミングで引っ越して、一旦離ればなれになったんだけど、小3のときに、俺の通う学校に実希が転入してきて、もう1度俺たちは一緒に遊ぶようになった。
付き合ったのは、俺たちが小5のとき」
「小5?」
そこで初めて、夏菜が聞き返してきた。
「うん。小5の冬。
もちろん、お互いに誰かと付き合うのは初めてのことだった。
俺の初恋の人は、本野実希。
付き合ったのも、ファーストキスも、『全部』実希が初めて」
「ふ~ん」
まだ、何も本題に入っていない。夏菜は、この先の話を予想しているのか、相づちを打ちつつ、少し考えている様子だった。
「小中学生の恋愛にしては珍しく、俺たちは長く続いた。
小5に付き合った、とは言ったけど、キスは中学に入ってからだったよ」
「それでも早いけどね」
「・・・・・・ん、まぁ、かもね。
小学校から中学に入ったばかりの実希は、誰にでも優しい方だった。
だけど、一部の女子からはあまり好かれていなかったかな。
でも、それはいわゆるスクールカーストが上位の、目立つ可愛い系の女子たちからの、同族嫌悪的なものだった、と思う。
まぁ、俺からしてみれば、実希の下位互換的な存在だったかな」
「言うね」
「ハハッ。実希は俺にも誰かの悪口は言わなかったからね。
・・・・・・でも、それは俺の他に、ストレスのはけ口があったからなんだよね」
夏菜は、特に驚きはしなかった。
『援交』とは『援助交際』の略で、言い換えれば、報酬のもらえる擬似的恋人関係、もっと過激に言えば、売春とそう変わらない。
俺たちにとって『援交』という言葉は、そんなに身近じゃない。
そもそも、普通の恋愛・恋人すら、俺からしてみれば少し非日常で、そこに報酬が発生するなんて、考えられない。
それでも夏菜があまり反応を示さなかったのは、それほど実希の名前がそのことで通っていたからだ。
「だけど、もちろん実希は産まれたころから『援交』をしていたわけじゃない。
俺と実希は、市外の同じ保育園に通ってたんだ。家が近くて、わりと仲が良かった。
俺は小学校に上がるタイミングで引っ越して、一旦離ればなれになったんだけど、小3のときに、俺の通う学校に実希が転入してきて、もう1度俺たちは一緒に遊ぶようになった。
付き合ったのは、俺たちが小5のとき」
「小5?」
そこで初めて、夏菜が聞き返してきた。
「うん。小5の冬。
もちろん、お互いに誰かと付き合うのは初めてのことだった。
俺の初恋の人は、本野実希。
付き合ったのも、ファーストキスも、『全部』実希が初めて」
「ふ~ん」
まだ、何も本題に入っていない。夏菜は、この先の話を予想しているのか、相づちを打ちつつ、少し考えている様子だった。
「小中学生の恋愛にしては珍しく、俺たちは長く続いた。
小5に付き合った、とは言ったけど、キスは中学に入ってからだったよ」
「それでも早いけどね」
「・・・・・・ん、まぁ、かもね。
小学校から中学に入ったばかりの実希は、誰にでも優しい方だった。
だけど、一部の女子からはあまり好かれていなかったかな。
でも、それはいわゆるスクールカーストが上位の、目立つ可愛い系の女子たちからの、同族嫌悪的なものだった、と思う。
まぁ、俺からしてみれば、実希の下位互換的な存在だったかな」
「言うね」
「ハハッ。実希は俺にも誰かの悪口は言わなかったからね。
・・・・・・でも、それは俺の他に、ストレスのはけ口があったからなんだよね」