きらい、大きらい
……そう思うのに。
翌日、放課後の図書室には私と青木先輩、ふたりの姿があった。
「なんで青木先輩がここにいるんですか」
「今日当番のはずだったうちのクラスの図書委員が休みだから。代理で」
静かな図書室の中、本の整理をする私。
そこから少し離れたカウンター内で彼はパラパラと本をめくっている。
なんでよりによって青木先輩……。
もっと他に、最適な人がいたと思うんだけど。
本に興味などないのだろう。その証拠に彼がめくるその本は、昆虫図鑑だ。
男子小学生か、と思わずつっこみたくなる。
他には誰もいない、静かな図書室。
本を読む彼と本棚を整える私。お互いの動作の音が響くだけで、会話はない。
……当然。
私たちに共通の話題なんてない。いや、あるか。ひとつだけ。
芽衣の、話題なら。
けれどどうしてかそれを飲み込んで、整え終えた本棚から彼へ目を向ける。