きらい、大きらい



……そう思うのに。

翌日、放課後の図書室には私と青木先輩、ふたりの姿があった。



「なんで青木先輩がここにいるんですか」

「今日当番のはずだったうちのクラスの図書委員が休みだから。代理で」



静かな図書室の中、本の整理をする私。

そこから少し離れたカウンター内で彼はパラパラと本をめくっている。



なんでよりによって青木先輩……。

もっと他に、最適な人がいたと思うんだけど。



本に興味などないのだろう。その証拠に彼がめくるその本は、昆虫図鑑だ。

男子小学生か、と思わずつっこみたくなる。



他には誰もいない、静かな図書室。

本を読む彼と本棚を整える私。お互いの動作の音が響くだけで、会話はない。



……当然。

私たちに共通の話題なんてない。いや、あるか。ひとつだけ。



芽衣の、話題なら。



けれどどうしてかそれを飲み込んで、整え終えた本棚から彼へ目を向ける。


< 4 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop