きらい、大きらい



大きな窓を背に、椅子に座り頬杖をつく彼。

こうしてみれば、整った顔立ちだとは思う。黙っていれば、かっこいい。



下を向く長い睫毛

色の白い肌

少しはねた茶色い髪は、オレンジ色の夕焼けに照らされ輝く。



って、なに青木先輩をまじまじと見てるんだか……。

そんな自分に少し呆れて、次の作業にうつろうと、一番上の棚へ手を伸ばす。

ところが、その本の位置はぎりぎり届かず、私は精いっぱい背伸びをして手を伸ばした。



「あと、ちょっと……」



苦しさから声を搾り出すようにつぶやく。

すると、突然伸びてきた手がそれを取った。



驚いて振り向けば、背後に立つ青木先輩がその本を手にしており、彼が取ってくれたのだと気付いた。

すぐ近くに立つ彼に、つい胸はドキ、と音を立てる。



「これだろ?」

「は……はい」

「ったく、届かないならちゃんと言えよ。それくらい手伝ってやるって」



本を手渡しながら呆れたように笑う、その表情が直視できなくて目をそらす。

不意に近づかれて、驚いただけ。それだけ。


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